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Report of seminar co-sponsored by Japan Racing and Livestock Promotion Foundation and Research Center for Food Safety, The University of Tokyo

掲載日:2014.12.17

JRA被災地支援対策事業に関する調査研究発表会

     10月1日、東京大学弥生講堂にて、財団法人全国競馬・畜産振興会との共催で、平成26年度JRA畜産振興事業に関する調査研究発表会を開催しました。 業界関係者や報道関係者を中心に多くの方にお集まりいただきました。ありがとうございました。当日は畜産に関する調査研究の6演題の発表がありました。こちらでは東京大学大学院農学生命科学研究科の眞鍋昇教授と細野ひろみ准教授の発表についてご紹介いたします。

放射線物質の家畜への影響調査について

    眞鍋昇 (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)

放射性セシウムの基準値について

    • 1年くらい紆余曲折があったが、現時点では次のように決まっている。
    • 食品の場合
      (飲料水と牛乳は乳幼児も口にすることが考えられるので低めに設定されている)
飲料水 10(Bq/kg)
牛乳 50(Bq/kg)
乳児用食品 50(Bq/kg)
一般食品 100(Bq/kg)
    • 飼料、肥料、土壌改良資材、培土、敷料の場合
      (世界的レベルの1/10くらい。それぞれの動物によって決まる。)
牛(乳・肉)飼料 100(Bq/kg)
馬(肉)飼料 100(Bq/kg)
豚(肉)飼料 80(Bq/kg)
鶏(卵・肉)飼料 160(Bq/kg)
養殖魚(肉)飼料 40(Bq/kg)
    • 資材の場合
肥料 400(Bq/kg)
土壌改良資材 400(Bq/kg)
培土 400(Bq/kg)
敷料 400(Bq/kg)

研究の背景と目的

    • 2012年11月8日に、福島県郡山市の福島県食肉流通センターで殺処理された1頭の馬の骨格筋から、食品の基準値(100 Bq/kg)を超える116 Bq/kgの放射性セシウムが検出された。
    • どんな飼料を与えたら100ベクレルを超えるものができるのか確認しておきたい
    • 仮に超えたとしても正常な(汚染していない)飼料を与えることで体内から除去でき、低減できるか確認しておく必要がある。

調査・研究方法

    • 福島県郡山市で生産(飼育)された馬を原発から130キロ程南にある茨城県笠間市にある東京大学附属牧場に移し実験に使用した。
    • 東京大学附属牧場で栽培した牧草(イタリアンライグラス)のうち、原子力発電所の事故の直後にあたる2011年(平成23年)5月~6月に栽培に刈取・乾燥・プラスチックで包装し、嫌気発酵させたものを「汚染ヘイレージ(汚染飼料)」、2年後の2013年(平成25年)5月~6月に刈取、同様の処理をしたものを「清浄ヘイレージ(非汚染飼料)」とした。
    • 頭の馬(供試動物)全てに清浄ヘイレージ(放射性セシウムが検出限界以下)を4週間、汚染ヘイレージ(放射性セシウム480Bq/kg)を8週間与えた。(馬用飼料の放射性セシウムの許容値は100Bq/kgなので、約5倍の濃度の汚染飼料を与えたことになる)
    • 清浄ヘイレージも汚染ヘイレージも体重400kgの馬に10kg/日づつ与えた。(汚染ヘイレージの場合、放射性セシウム4,800Bq/日/頭になる)
    • その後、2頭づつ、3グループに分け、①4週間清浄ヘイレージを与え安楽死、②8週間清浄ヘイレージを与え安楽死、③16週間清浄ヘイレージを与え安楽死 させた。
    • その間、最初に清浄ヘイレージを4週間与えた後と、汚染ヘイレージを与えて0週、4週、8週、さらに清浄ヘイレージに切り替えて2週、4週、8週、16週のタイミングで、血液と糞の放射線セシウムの濃度の経過観察を行い、汚染ヘイレージ8週目とその後の清浄ヘイレージの4週目、8週目、16週目では筋肉中の放射性セシウムの濃度の経過観察を行った。
    • 安楽死させた馬をそれぞれ解剖し、それぞれの心臓、脾臓、肝臓、腎臓、大腰筋、尿、血液、糞に含まれる放射性セシウムの濃度を調べた。

結果と考察

    • 汚染ヘイレージを与えた後、清浄ヘイレージを与え2週で、血液と糞、4週、8週、16週で筋肉、血液、糞の放射性セシウムの量を測定したが、4週目で1頭だけ、筋肉から30Bq/kgの放射性セシウムが検出されたが、それ以外は0Bq/kgであった。
    • 6頭の馬全てにおいて、安楽死させた後解剖し、それぞれの心臓、脾臓、肝臓、腎臓、大腰筋、尿、血液、糞に含まれる放射性セシウムの濃度を調べたが0Bq/kgであった。
    • 牛とか他の動物では、血中から放射性セシウムが検出されることがあるが、馬では検出されなかった。

畜産物の安全に関する消費者の意識調査等について

      細野ひろみ (東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
      <準備中>

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