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Report of the seminar co-sponsored by The Japan Racing and Livestock Promotion Foundation and Research Center for Food Safety, The University of Tokyo

掲載日:2012.11.27

JRA被災地支援対策事業に関する調査研究発表会

10月4日、東京大学弥生講堂にて、財団法人全国競馬・畜産振興会との共催で、平成24年度JRA被災地支援対策事業に関する調査研究発表会を開催しました。
業界関係者や報道関係者を中心に多くの方にお集まりいただきました。ありがとうございました。

当日は被災地の畜産に関する調査研究の7演題の発表がありました。こちらでは東京大学大学院農学生命科学研究科の眞鍋昇教授と細野ひろみ准教授の発表についてご紹介いたします。

放射性物質による豚への影響調査-中間報告

眞鍋昇 (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
講演スライドはこちら(PDF)

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  • 原発事故約100日後に警戒区域内から移動した原種豚の生殖機能やその子どもへの影響を2年かけて調べていて、今回はその中間報告です。
  • 私たちが普段食べている豚は、3-5種類の元になる豚(原種豚)を交配させたものです。
  • 原種豚は世界中では非常にたくさんの種類がありますが、日本では6種類が主に使われています。バークシャーは鹿児島で黒豚として人気があります。中ヨークシャーは、私は好きなのですが、成長するスピードが少し遅く最近は人気があまりないようです。
  • 日本の豚肉の半分くらいは輸入されたものですが、そうしたものは主に外食や加工食品に使われています。精肉として食べているもののほとんどは国内で生産されたもので(生産量は年間約128万トン)、一番多いのは鹿児島産や宮崎産です。福島では約20万トンを生産しており、重要な産地となっています。
  • 警戒区域内では約3万頭の豚が飼養されていました。馬や牛は比較的引き受け手がいましたが、豚はあまりいませんでした。汚染の高い地域の豚の調査は重要なので、東京大学で引き受けることになりました。

どのような調査を行ったか

  • この調査の目的は、事故後の被ばくによって原種豚にどのような影響があるかを調べることです。原種豚の役割は子どもを生産することなので、健康な子どもが生まれるかどうかはとても重要なことです。
  • 原種豚を警戒区域内からトラックで東大付属農場(茨城県笠間市)に移動した後、健康診断をしました。そして、生殖ホルモンの濃度や生殖行動について調べました。それで問題がなければ、交配させ子どもを生ませました。
  • さらに、研究を行っている場所の空間線量や餌、水、そして糞尿などの放射線量を調べました。
  • 調査についてアドバイスをもらうために推進委員会を開催しました。1月に現地視察会もかねて、東大付属牧場で実施しました。
  • 調査結果の普及も事業のひとつです。得られた結果を、畜産関係者など多くの人に伝え、役立ててもらいたいです。今年の5月には朝日新聞に「警戒区域内の豚 生殖に異常なし」という見出しで掲載されました。特に異常がなかったということも、重要な情報だと思います。

これまでの調査で分かったこと、今後行うこと

  • 警戒区域は昨年5月頃からは農家も立ち入り禁止となり、多くの豚が餓死していました。当初は5月のできるだけ早い時期に移動させようとしていましたが、豚があまりにも弱っていたので、餌を与えて元気づけてから移動させることになりました。
  • 養豚場周辺の放射線量は1時間あたり1マイクロシーベルト前後であったと推測されます。また、周辺の土壌は1kgあたり大体100万ベクレルでした。
  • 移動できたのは昨年6月末です。とても暑い日で、移動したうちの4頭は弱ってその後死んでしまいました。
  • 移動したのは5種の原種豚で、雄が10頭、雌が16頭です。ほとんどは6-7歳という年をとった豚です。
  • 体重や飼料摂取量、血液検査などの健康診断では特に異常は見つかりませんでしたので、生殖機能を調べました。
  • 雌はきちんと卵胞ができているかや排卵をしているか、雄は精子の活性や異常精子の割合、また、生殖ホルモンについて調べました。こちらも特に異常はありませんでしたので、交配させて次世代を生産しました。
  • ・現時点で64頭の子どもが生まれていて、特に異常はありません。これらの中からランダムに選んでさらに次の世代を生産しようとしています。
  • ・こうした当世代と次世代の生殖機能などを実証的に調べることで、畜産業復興の礎にしたいと思っています。

放射性物質をめぐる消費者の意識・知識と行動

細野ひろみ (東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
<準備中>

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