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第21回サイエンスカフェ「いちばん身近な放射線!? —医療用放射線と被ばくのコト—」開催報告

掲載日: 2017年5月8日

話題提供者の近藤隆さん

話題提供者の近藤隆さん

2016年9月29日、第21回サイエンスカフェ「いちばん身近な放射線!? —医療用放射線と被ばくのコト—」を開催しました。富山大学大学院医学薬学研究部 放射線基礎医学講座教授の近藤隆さんにより、放射線の基礎知識と同時に、レントゲンやCT検査など身近な医療用放射線やその考え方についてわかりやすく説明していただき、医療を受ける立場での今後の選択などについて、参加者から多くの質問やコメントが寄せられました。



○第21回サイエンスカフェ配付資料(pdf)
※以下、記載がない場合の発言は近藤氏のもの
※質疑応答は一部抜粋

放射線の医学利用

    • 121年前のこの写真が世界を変えました。これはレントゲン博士が奥さんの手を撮ったもので、当時一世を風靡しました。X線を発見したのはレントゲンということになっていますが、その前にこのクルックスという人が、実は不思議な光があるということはをもう報告していました。
    • 放射線といいますと、どんなものでも透過してしまう、通ってしまう。それが分かったので、診断に使われております。一方、放射線を浴びる、放射線を与えると、。すると、いろんな障害が起こり、る。そして細胞が死ぬという効果がも分かってきました。細胞が死ぬということは、がん細胞に放射線が当たれば、それは治療に使えるということです。
    • 放射線はよく診断に使われています。皆さん方にもX線は身近ですね。そして、今日特に意識を持ってお話しするのは、このCTというコンピューター断層撮影です。これは実はX線を使う診断装置です。もう1つは、PET(ペット)です。これは陽電子放出断層撮影といって、難しいですが、放射線による診断の1つの種類です。また、RI検査といって放射線を出す薬を体に投与して、それで診断するというものです。
    • MRIという検査や超音波という検査があります。似たような装置ですが、MRIというのは磁場を使い、超音波というのは、非常に波長の短い、周波数が高い音を使います。超音波は実は放射線ではないので、安全性は非常に高い診断です。磁石の診断ですから、磁気を持つような金属だとか、そういうものがある方は要注意なんですが。磁場と超音波、この2つの検査は、放射線と比べると限りなく安全性は高いと思いますので、ここは明確に区別はして覚えておいてください。
    • ご覧の写真は男性か女性かすぐ分かると思いすが、なんとこのX線写真の落札価格は500万円。これは誰のX線写真だと思いますか。実はマリリン・モンローでした。彼女だから、X線写真でも500万円というわけです。
    • さて、今言いましたX線、放射線を使った診断というのは、幾つかありますが、ここには代表的なものを紹介しています。皆さんが健診を受けるとき、「息止めて、はい、写真を撮ります」というのがあります。もし肺に影があったら、「何かある」からと、CTという検査をします。すると、なんと私たちの体が輪切りにされて見える。そこにいろいろな影が映ると、両方を合わせて、ひょっとするとがんかもしれないと。PETというのは、お薬を注射してその薬が体内のある部分に取り込まれる。すると、取り込まれたところが光ります。光り方によっては、とても元気な細胞がいるので、どうもがんらしいと、と。こういうような診断が行われているわけです。この段階でも体は放射線に少し被ばくしているわけですね。
    • 放射線診断でよく聞くのは、「では、CT撮りましょう」ということではないでしょうか。さて、ひょんなことで気が付いたんですが、このCTCTという装置の開発には、なんとビートルズが関係しているんです。CTというX線を使った装置、コンピューターによる断層撮影を開発したのはEMIという会社でした。最新の機器なのに、を作ったんですが、医療機器ですから始めはなかなか儲からなかったんです。EMIという会社はレコードを売っていたんですが、当時のレコードの売り上げに大貢献をしたのがなんとビートルズでした。つまり、このビートルズなくして今世界に普及しているこの医療機器はなかった。そういう思いで今ビートルズの音楽を聞くと、「サンキュー! ビートルズ」ということになるわけです。
    • CTでは、何でも見えます。最近では装置に横になって1回転させるだけで、胸の血管、冠動脈の詰まりなんかも分かってしまう。この写真では何か分かりますか。平たく広げたようになっていますが、これはなんと大腸の展開図です。大腸の内視鏡をしなくても、CTCTを撮るだけで展開図ができてしまうんですね。このCTの画像とPETの画像とを合わせると、どこの細胞がどういうふうに活発に働いているかということが分かりってしまいます。CTでは、ほとんどのものが見えるということであります。

画像診断への応用

    • この100年、200年の間で医療が一番進歩したのは、私はこの放射線診断と、抗生物質だと私は思います。抗生物質ができたおかげで、ほとんどの感染症が制御でき、X線が発見されたおかげで診断の技術が圧倒的に進化した。それがそしてどんどん精緻になって、たくさんの情報が得られるようになっている。すると、医療側は、できればたくさんの情報を早くいっぱい得たいと思うんです。それはそうですよね。1枚の写真よりも何枚も撮って正確に診断したいと思うのがは人の心ですありまして。
    • 最初は1枚の断層撮影だったのが4枚になり、次に16枚にに。さらにそして32枚、64枚になって、さらに128枚と、今、と、どんどんその技術が進歩しています。放射線は確かにあまり体に当たり過ぎると良くないっとはてことは言われていますから、おりますので、メーカーでも、1枚当たりの被ばく量をなるべく減らすようにと、コンピューターを駆使して工夫してはいるんですが、撮影する側にとしてはいっぱい撮りたくなる、しっかり調べたい。そうすると、全体としてはどうしても被ばく量が若干増えてしまうというのが問題ではあります。
    • この筒形で人が入るような格好になっている装置は、CTではありません。この装置はPETです。PはPositron、これは陽電子です。EはEmissionで、TはTomography、断層撮影という意味です。Emissionというのは、飛び出す、とか、放出するという意味です。Positronというのは電子の陽、プラスの電子ということです。この世界はプラスとマイナスのあるということですが、電子には明らかにマイナスの電子とプラスの電子があります。プラスの電子を出すと、マイナスの電子と結合する。そこに電磁波、X線が出るのを利用するという、とてつもなく物理学的なの世界が、まさに医療の中に反映されて、このPETPET検査がというのが行われているんです。
    • その辺りをよく知らないで、マスコミは宣伝していたんですが、実はこれは明らかに放射線を出す装置です。放射線を出して検査をする装置なので放射線の影響がやはりあります。それから、病院ではいろんな検査があって、核医学というような名前のがある検査があります。核と聞くと違和感を感じる方もいらっしゃると思いますが、これもやっぱり放射線を意味します。放射線を出す薬を入れて、で、放射線が出ているところを検出して、それで絵を描くんです。絵を描きます。
    • また、この診断のいいところは、薬を入れますが、薬がどんどん体の中を移動しますので、ある臓器の機能、働きの時間的な変化が分かります。核医学ですから、使われているのは放射線を出す薬です。全く知らない人がこれを聞くと、「え、放射線なんか体の中に入れて大丈夫なの」と心配されると思いますが、これは半減期という放射線の特別な性質があって、この薬の場合の放射線はあっという間に消えてしまいます。これが長いままなら駄目ですね。半減期が短いっていうことが大事です。

放射線の影響とがん

    • 私も含めて、がんのリスクをいつも考えなければいけない時代になっています。年を取れば当然がんになるリスクが上がり、というようなことで、死亡率もかなり増えているということでということで、国民の最大の関心事にもなっています。私も医学部で教育していますが、どこの大学も同様に、がんを取り扱う専門の科というのが、いまだにない。これでいいのかなといつも思っています。
    • 頭の先から足まで並べてみると、頭は脳腫瘍、目もがんになりますし、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、肺がん、乳がんと、がんにならないところはほとんどないんですね。でも、がんにならないところがあるんです。どこでしょうか。意外にもそれはハートです。心臓のがんというのはあまりないんです。ゼロではないんですけど。心臓の場合は筋肉ですから、肉腫になります。
    • 大腸がんは有名ですね。しかし、意外と小腸はないんです。十二指腸腫瘍はたまにありますが、ほとんどがんがないのが実は小腸というのは皆さん方ご存じでしょうか。小腸は、大体1日に150グラムぐらいずつ腸の表面の細胞が剥がれ落ちています。皆さんの腸管を実は全部広げて、細かいひだひだを全部広げると、テニスコート1枚分ぐらいになるんです。その上のうっすらとした表層の細胞は、食べ物を食べ、消化管で消化して吸収するときに表面が毎日のように削れていきます。大体150グラムぐらいですからで、例えばちょっとしたステーキを1枚食べる分ぐらいの量の小腸の上皮が常に入れ替わっているんですね。入れ替わりが激しいと、細胞が次から次へどんどん失われていくので、がんになる暇がない。活性の高い組織というのは、意外とがんになりにくいと言われています。
参加者

がんっていうのは細胞が固まってなるでしょう。そのがんの塊を他の細胞と比べたときに、普通の部分と全然違う味がするものなんですか。例えばカラスに餌としてそれをやったら、カラスは食べないんじゃないかな。がん細胞はやっぱり全然違うものだと思うんだけど。

近藤

血液のがんもあるので塊とは限らないです。細胞を食べることについては全く答えを持ち合わせておりません。がんというのは一般的に言うのは難しくて、われわれの細胞はいろいろ遺伝子的な変化をしますが、オリジナルはわれわれの体の細胞です。その表面に抗原というたんぱく質を発現するわけです。だから、がん細胞はもとの細胞と似ていると言えば似ているし、似ていないと言えば似ていないので、私たちの体の防御反応もそれを見つけられなくてがんになることがある。見つけて、これはがん細胞で異物だから消しましょうということになれば、がんにはなりにくいということになります。

参加者

食べられるものですか。食べてみるとどういう味になるんでしょうか。

関崎

牛や豚、ニワトリもがんになります。がんになった場合は食用には一切流通させないで廃棄されますので、一般には出ないんですけど、試しに食べるとあまりおいしくないです。

近藤

先生は食べられたことがあるんですか。

関崎

食べたことがあります。まずいです。

近藤

やっぱりおいしくないそうです。

がんができるしくみを解説する近藤さん

 

    • ちょっと学問的になりますが、がんというのは何で起こるのか。いろいろありますが、一番の原因はたぶん化学物質なんですね。ノーベル賞を取りそこなってしまった話なのですが、東京大学、昔の帝国大学の病理学の山極先生が、当時研究室にいた札幌農学校の市川厚一先生と一緒に研究をして、ウサギの耳に毎日コールタールを塗ったわけです。毎日塗っては剥がし、塗っては剥がし、それを何日も塗り続けました。人が考えられないぐらい長くやったら、良性の腫瘍ができて、最終的にいわゆるがんになったということが分かって、報告したんです。しかし、日本はまだ当時は後進国という扱いだったんでしょうか、その年には寄生虫が発がんを起こすという報告をしたオランダの研究者がにノーベル賞を取られてしまいました。この寄生虫の話は完全なうそでした。
    • このコールタールを塗った研究は、今でも世界で高く評価されています。日本人の優秀さというか、そういう基礎研究が非常に多くなされたのは事実です。ただ、日本のマスコミは、この研究について、がんか、贋作の「贋」か、この先生が頑固だったから「頑」かということで、「癌か、贋か、はたまた頑か」と言って揶揄したり、茶化したりしたということがありました。
    • がんというのは原因がいっぱいありますから、なかなか特定することは難しいです。しかし、タバコは原因となるこういう化学物質をいっぱい含んでいますので、たくさんタバコを吸って、アルコールという有機溶媒をいっぱい摂ると、確かにがんにはなりやすいだろうと思います。
    • こういう話しをすると、「うちのおじいちゃんは大酒飲みで、タバコをいっぱい吸ってたけども90歳まで生きた」というようなことをよく言われます。したがって、原因というのは一般的にどこまで説明がつくかっては難しいんですね。個人の体質とかもありますし、一概には言えませんが、たくさんのタバコやアルコールはやっぱり避けたほうがいいですね。
    • それと環境を整えることが重要です。食事で私たちは多かれ少なかれいろんなものを取り入れます。あまり1つのものに偏らず、植物性の特に抗酸化物質を含む緑黄色野菜、そして新鮮なものをバランスよく摂るということが大事だと思います。
    • がんについて、2つの矛盾することがあります。それは1つは、がんはゆっくり成長するということです。します。したがって多くの場合、健診を受けて何もありませんと言われたら、たぶん半年ぐらいは大丈夫です。しかし、がんになるときは、ある日突然がんになるんですね。なぜかと言いますと、がんは成長するのに多くの場合長い時間がかかります。成長の過程でもいろんな刺激を受けて少しずつ変容して、体の中でも消去されずに細胞が不老不死になり、それが悪性化して、目に見えるような形になってお医者さんに行くと、大きな病院に行って検査してもらってください、となる。そして、例えば内視鏡で組織を取ってみたら「早期のがんですよ」と確定診断がつきます。このように、いうことになってしいます。がんはゆっくり成長するわけですが、医学的には、私自身も含めて、明日あさってがんになるかもしれないということですね。

がんの放射線治療とその応用

    • ここからがこれが私どもの専門ですが、がんの放射線治療というのが出てきたんですね。日本はちょっと遅れているんですけども、これが結構普及して需要が多い治療法になっています。なぜなら、機能と形が保存できるし、QOL——生活の質の面で優れている。また、どんな部位でも照射ができます。副作用は比較的少ない。ないわけではありませんが。高齢者でも可能ということですので、それからですし、通院しながらも治療可能なので、放射線治療は今、日本でも非常に広がりつつあって、その需要に、業界我々、われわれと言いますか、放射線腫瘍学会もなかなか100%応えきれてないような状況です。
    • もちろん課題もあります。根治性という点では、早期の外科手術などに比べるとちょっと落ちます。それから、放射線治療はいろいろあります。治療期間が長い場合がああったりですね、普通の放射線治療だとどうしてもがんによってはどうしても効かないがんものもあります。
    • 治療の放射線が発がんの原因になっているなんてこともと思われる方いるんですが、リスクはやはりゼロではありません。大体1%、2%ということなんですけど、放射線を用いて治療したら、今度は別な肉腫がそこから発生してしまったということもないわけではありません。そうした、だから、いろいろな状況を踏まえた、放射線の治療が普及しつつあります。これまでいろんな放射線治療が開発され、使われてきました。ここ10〜15年でものすごく進歩して、私が富山に赴任したのが20年ぐらい前ですが、その当時と比べても格段の差があります。
    • 治療の応用の1つとして、高エネルギーのX線を使ったがん治療があります。定位放射線治療とか、強度変調とか、動体追尾放射線治療とかも最近出てきました。それから、陽子線も放射線で、陽子線がん治療もあります。重粒子がん治療、ホウ素中性子というのもあります。ホウ素中性子捕獲療法は、最新の治療ということで開発が進んでいます。
    • 誰でも自分が患者になったときにマイナスのことはあまり考えたくないんですが、治療という行為は介入行為なので、何らかのリスクが必ずあるんですね。手術を受けるといっても、100%安全ということではないわけです。実はないわけです。放射線の治療も、受ける前はみんな期待が大きいんですが、必ずしも副作用がないわけではないです。
    • それから、重要なことなんですけれども、放射線治療は昔は使う場所が非常に限られていました。例えば乳がんとか、頭頚部とか、前立腺とかです。今は、条件や適用の症状等にもよりますけれども、ほとんどのがんが多かれ少なかれ放射線治療の対象になります。したがってキーワードは「ほとんど全すべて」ということになります。

放射線治療の部位——キーワードは“ほとんどすべて”

参加者

近藤さん、その中で一番よく治るのはどれですか。

近藤

よく治るという点ではこの辺りですね。、乳がんは割と5年の生存率は高いほうです。それから、放射線が、もともと効きが良いとされているのは、この頭頚部腫瘍ですね。頭頚部は、顔面等がありますので、ここを手術するというのは、やっぱりなかなか大変な手術になります。ですから、放射線の適用になるがんですね。

    • 前立腺がん、これは手術もありますし、ホルモン療法とかいろいろありますが、放射線治療も割とよく使われています。食道がんというのは実は手術はできるんですけど、なかなか手術としては難しい手術なんですね。なので、放射線と化学療法を併せた化学放射線治療というのがは結構食道がんにも結構使われています。これは切らずに治療一応できますので、効果も今は非常に期待されています。条件にもよりますが、ほとんど手術と同じぐらいの成績が出ているということです。
参加者

そうしたら、逆に治らないものは何ですか。

近藤

普通の放射線で治りにくいのは、肉腫関係です。肉腫は放射線の効きが非常に悪いです。それから、メラノーマってご存じですかね。かかる割合は非常に少ないですが、ほくろ様のものががんになったりする、悪性黒色腫というものです。普通の放射線はほとんど効かないのです。

    • 放射線を適用するがんをいろいろ挙げていますが、有名だけど出ていないものに胃がんがあります。大腸がんもあまりない。最近ちょっとだけ出てきましたけども、胃がんや大腸がんは腺がんが多いので、どちらかというと比較的放射線の効きが悪いということがあります。
    • がんの一番厄介なところは転移で、例えば脳にも転移してしまうことがあるんですね。それに対して、最近の産業用ロボットのはアームから放射線のビームが出るんですけれども、同じような細い放射線のビームを1点に集めてがんをたたこうという治療があります。これはサイバーナイフという治療装置なんですけど。こういう装置のにかかりますと、1個の腫瘍を完全に消すことができるということなんですね。また、多発で、脳の中に転移した腫瘍がたくさんある例ですが、これを治療して9割がたこれ消すことができたという例もあります。このように、局所用としては放射線は素晴らしいと思います。ここのキーワードはピンポイントということですね。
参加者

写真で、白っぽく見えるのががんなんですね。なぜ白っぽく見えるんですか。

近藤

たぶん細胞の中の組成が正常組織と違って、放射線の通り方も違っているんですね。

    • がんは単純なただの球形、真ん丸ではないんですね。実はもっといびつで、周りにあちこち枝葉を伸ばしていて、複雑な実は形をしています。今までの放射線は、とにかくがんの部分に放射線をいっぱい集めようということでした。でも、厄介なのはがんと正常な細胞との区別がつきにくいので、がんにいっぱい放射線を当てようとすると、周りの正常組織にも放射線が当たってしまうんです。
    • それで、放射線をがんの形どおりに当てられたらもっと効果が出るだろうというのが、強度変調放射線治療なんですね。この治療は、様々な角度からがんの形に合わせて部分的に強く当てたり、弱く当てたりと濃淡をつける、3次元で当て方を細かく変えるという治療法です。

放射線治療の最前線

    • われわれのがんというのは、実は呼吸すると動くんですね。そうすると、今までの放射線治療では、放射線を当てているとがんが動いて他のところにも当たってしまっていました。がんが動くのを追っ掛けて放射線を当てれば、正常組織に当たる割合が少なくなります。工学医療の世界ですが、陽子ビーム砲、粒子ビーム砲というものもあります。こんな未来の兵器が今医療の世界で、マスコミにも宣伝されています。粒子線治療とかですね、陽子線治療とか、重粒子線治療という装置が、出てきているということです。
    • なぜこういう粒子線ががんの治療に使われるかていたかと言いますと、X線は当たった所からだんだん深くなると減衰してしまいます。したがって体の奥にがんがあったとき、いくら外から放射線を与えても、そこに届くまでに正常な他の組織にも当たってしまう。ところが、粒子の場合これ不思議な性質があるんです。粒子の形の放射線は、体の中に入ってこの粒子線がどこかで止まっちゃうんですけど、その止まる直前にだけエネルギーを放出するという性質があります。ので、この性質を利用すると、もし奥深いところにがんがあれば、がんの深さに合わせてこの粒子線を与えると、がんの所だけ放射線を当てることができる。そうした装置開発が認められまして、今、全国に粒子線の装置が出ていて、かなりの市民の方がもう既に受けられているという状況になっています。
    • 千葉にある放射線医学総合研究所には、日本で最初の炭素線という、粒子をがんに打ち込む装置がります。この装置で、例えば、こんな大きな腫瘍がかなり小さくなっています。
    • 陽子線治療とか、重粒子線治療というのはかなり普及していて、今はたしか先進医療の保険でもカバーできるようになっています。ただ、どうしても二の足を踏むのは価格です。これを受けるためには大体280〜300万円ぐらいですかね、かかってしまうということになります。普通の放射線の治療がいろいろありますけど、大体数十万円ぐらいで済むところ、陽子線治療とか重粒子線治療とかは自己負担になりますからね。
    • 難治がんにもの中にも使える治療として、最近また注目されているのが中性子捕獲療法ですと。ちょっと怖い感じがしますね。中性子というと原子炉から出てくる粒子で、「そんなもの医療に使うの?」と思うかもしれません。最近、病院に置けるような加速器からも中性子を取り出すことができるようになりまして、注目されています。非常に治りにくい、放射線で治らないがんにもこれは使えるということです。これは、周期表にあるBのホウ素を含む化合物ががん細胞に割と取り込まれやすいので、それを取り込ませたがん細胞に周りから中性子を与えるのです。すると、ここでBは核反応を起こして、この細胞だけをやっつけてくれるのです。他の正常細胞には影響せず、ホウ素を取り込んだがん細胞だけが死んでいく。がん細胞に特異的な治療として、がぜん注目されつつある治療法です。東北地方のある民間病院なんかも、既に導入しているということです
    • この治療の優れたところは、黒色腫への適用です。これは皆さんがたもちょっと気を付けていただきたいのは、ほくろと言っても普通のほくろは放っておいて全然問題はないんですが、だんだん大きくなるようなほくろ、また、いわゆる足の裏など色素のない所にあるほくろというのは皮膚科に行って診てもらったほうがいいということです。足の裏に何気なく広がってしまったほくろのようですが、厄介ながんの一種で悪性黒色腫という病気の場合があるのです。
関崎

さっき治らないほうの例に入ってたがんですか。

近藤

普通の放射線では治らないです。細胞レベルで非常に放射線感受性が低いんです。化学療法もあまりなく、とにかく早期に発見して手術をするということになっていました。けれども、手術と言っても、かなり大きく切り取らなきゃいけない。足を大きく切り取ったらどうなるかって、言ったら分かりますよね。命を救うか、足を救うかぐらの極端なこともあります。手術で命が仮に助かったとしても、大変です。しかも、転移というか、あちこちに飛んでいく性質が非常に高いがんなので、このこれの取り扱いはって結構厄介なんです。

    • 最近注目されたのが、PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤。年間だと3,500万ぐらいかかるという、あの治療薬がは実はこれに実はこれに結構効果があるということなんです。100%ではありませんし、ありませんよ、タイプにもよりますが。この悪性黒色腫にですね、先ほど言ったホウ素のお薬を取り込ませて中性子を与えたら、足はほとんど影響なく、この悪性黒色腫だけ消えていってしまったんです。5年間の生存率は普通の治療と、この治療をやったのとで同じなんですけど、普通の治療は手術をして足を大きく切り取っちゃうから、実はもう歩けないんですね。生活の質を考えると、やはり足は残してほしいと思いますよね。
    • 一番典型的な効いた症例として小野先生からお借りした写真は、いろんなことを施しても再発してしまった耳下腺がんです。こんな大きながんに、先ほどご説明したBNCTの治療をして、だんだん腫瘍が消えて治っていっています。耳とか他の所にほとんど影響がなかったんです
    • このように放射線治療にもいろいろあります。「もしも」っていうことは私自身も言いたくないですが、可能性がある場合には、この放射線治療がというのは選択の1一つに十分なり得るという時代になってきました。
参加者

リニアックっていう放射線を当てた患者さんはどんな治療ですか。

近藤

リニアックは、先ほど言いました高エネルギーのX線と考えていいです。リニアックは加速器なんですけれども、加速器で電子を加速して金属板に当てると、その運動エネルギーでを金属板に当たって止まった瞬間にエネルギーの高いX線に変わります。それを使った放射線治療で、通常の放射線治療はは、リニアックを使った治療がほとんどです。

参加者

炭素とかで陽子というのは、大きさが全然違うけれども、じゃないですか。それを人間がコントロールできるようになったということですか。遺伝子をたたくわけですね。

近藤

結果的にはそうです。いろんな実は粒子線はもちろん研究で確かめられていて、鉄イオンを使うなど、でいろいろあります。それから、陽子線と重粒子線は生物学的な作用が少し違います。最終的には、がんという細胞ですから、遺伝子をたたけば増殖はしないです。

参加者

放射線治療はどういう場合に効いて、どういう場合にダメなのか、そういう規則性はないんですか。

近藤

一般論で言うと、放射線治療は大きくなってしまったがんには非常に効きが悪い。特に酸素が乏しくなったところでは、がん細胞は非常に放射線に強くなっちゃうんですね。だから、がんと言っても実は全てのがんが同じように放射線にやられるとは限らないんです。比較的小さいなものならやられますが、大きなものはやられにくいです。血流の問題もあります。遺伝子の話も出ましたが、もともとのがんの性質にも依存する等々、なかなか一筋縄ではいかないというのが正解です。

参加者

放射線治療というのは、痛いとか、熱いとか感じることはあるんですか。

近藤

たぶんそれはないと思います。副作用として、後で皮膚炎が起こったりすることがありますが。

参加者

大学で、例えば重粒子線の装置を医学部で持っている割合ってはどのぐらいですか。

近藤

重粒子線を装置を持っているのは、現在私の知る限り群馬大学1校だけです。陽子線はだいぶ増えました。中性子発生源を直接大学が持っているのは、たぶん2カ所ぐらいですかね。

参加者

X線治療のところで例えば10%だけの施行とありました。残り90%は放射線以外の治療ですか。

近藤

違います。放射線治療を受けたいろんな疾患を放射線治療全体を100にしたときに、どのぐらいの割合かということです。例えば乳がんの場合はほとんどです。化学療法などを使う場合もありますが、多くは手術をして、加えて、ミクロなレベルで「ある」かもしれないがんをたたくために放射線を併用しまします。

放射線ってなんだろう?

    • では、放射線って何でしょう。多くの場合放射線は基本的にX線だけを抽出すると、電磁波なんですね。電波です。目に見えないから分からないですね。でも、身の回りにはあるわけで、ラジオの電波、電子レンジのマイクロ波、携帯電話、これはこれマイクロ波ですね。全部実は親戚にあたります。ただ波長は違います。長さによって放射線、X線の部類、波長が非常に短くなってくるとエネルギーが高まります。私たちの体は俗に言うとほとんど水でできているようなものですが、その水にこの電波が当たると水が分解して、体の中に活性酸素ができてしまうということなんです。
    • 放射線を受けると、メカニズムはともかく、水の中に、過酸化水素ができます。水の中にできるってことは、ということは、私たちの細胞の中にも活性酸素の過酸化水素が直接できるんです。過酸化水素は昔、消毒剤や漂白剤にも使われていました。そういった科学物質が細胞の中に直接できてしまうので、細胞に放射線を当てると生き残った細胞が、とても少なくなってしまいます。放射線が直接遺伝子に当たることもあります。すると、遺伝子が切れたりて壊れてます。活性酸素ができると、それが遺伝子に傷を付けます。これは決して特別なことではなくて、私たちは普段酸素を吸っていますから、活性酸素ともいつも戦っているわけです。
    • 放射線にいろいろな単位があります。被ばくの話では、物差しがないと比較できませんから、物差しを用意しましょう。放射線の単位でよく使うのは、GyとかSvという単位です。X線だけに限って言えばGyもSvも同じです。
    • 放射線に当たったらどうなるか。浴びる線量に応じてだんだん増えていく影響と、もう1つは、放射線を浴びても何も変化はないけれど、一定量を浴びるといろんなことが起こりますよという確定的影響に分類されます。原発事故のときに「直ちに影響ありません」と言っていたのは、後者の話です。放射線を一度にたくさん浴びると皮膚が赤くなり、脱毛もします。そして、リンパ球の減少。これらは放射線をたくさん浴びたときに起こる現象ですが、一定量の放射線を浴びなければ起こらないということです。
    • 問題はがんと白血病です。放射線を浴びる量が多くなるほど影響が現れる確率が高まる、という影響に分類されています。これが今日の実は今後の、今日の最重要なポイントです。
    • 放射線とは何か、わかりやすく説明していただきました。

    • 放射線を浴びると、確かにDNA、遺伝子が傷付きますが、私たちの体の遺伝子の傷はほとんどほとんど治ってしまいます。ごくたまに治らないものがあると突然変異が起こり、それが非常に長い期間がかかってたまっていくと、場合によってはがんになるということです。
    • たくさんの放射線を浴びれば、がんになりやすくなりますが、どのくらいの放射線でなるかはよく分かっていません。ただ、少しの放射線でも発がんの原因となるという考え方を基本にしています。放射線をしっかり制御、管理するには、そのほうがいいんです。それで、法律の施行規則等ができました。日本の場合、公衆については、特別に管理されていて、5年で100mSvです。1年間あたりでは普通の人の20倍、年間20mSvが線量限度で、これを超えないようにと決まっています。
    • 放射線は私たちが社会生活で使っている所でははいろいろな規制があって、いっぱいあって、公衆の限度、業務従事者の線量限度、作業者についての線量の年間上限上なども決まっています。緊急時についてはは100mSv、今回の原発事故のように特別な過酷事故場合、最大250mSvなど、いろんな規制もあります。
    • 医療も放射線を使いますが、こちらは規制がはありません。前述の放射線も医療の放射線も基本的には同じ放射線です。物差しを1個持っていて、片方は物差しで測って使うけど、もう片方は物差しなしという状態です。規制はないですけれども、医療者側としては検査や治療での放射線は当然使うべきだし、使っていいよねという正当的な局面と、それでもできるだけ放射線は減らしましょうという努力目標はあります。放射線の明らかな実は二面性、被ばくの二面性があを表しているわけです。

身近な環境にもある放射線

    • 皆さんがたの体の中にも放射線性物質がちょっとだけあります。というのは、私たちのは呼吸でいろいろからもいろんなものを吸い込み、んで、大地からも照射を浴びています。食物や、肥料の中にもあって、肥料を取り込んだ穀物、植物にもありますし、太陽からも来ています。昔の核実験の名残もまだゼロではないありません。
    • 医療被ばくについては、日本が世界の基準にから比べて2〜3倍と結構高いんです。日本は医療健診が行き届いていて住民健診や職場健診、学校の検診等々がしっかりしています。こうした身の回りの放射線があるということはご理解いただきたいところです。
    •  これは1つの事例ですが、最近歯科に行きますと、「ちょっとX線写真撮りますね」となりますが、これは大体0.01mSvです。住民健診で「息止めて、はい」と、撮るのは0.03mSvです。これらの撮影での被ばく線量は、前述の物差しの数値から言えば、まあいいかなというイメージですね。マンモグラフィは0.4mSv、バリウムを飲んで、ちょっと形を変えて撮影する胃の透視や、頭部のCT、全身のPETなどもそれぞれ値は違います。腹部CTは6.8mSvです。
    • CTを撮ることのこれの良しあしとか、これをこんなに被ばくするんですよということを言うつもりはないです。当然医療行為は必要とあればそれはしっかり受けなきゃいけません。ただ、例えば若い方がですね、例えばこういう乳房検査の場合は問題となっているのは、若い方のマンモグラフィを撮ると、乳腺が発達している人の場合白く映ってわかりにくいので、ってしまって、できれば超音波検査のほうがより的確に使えるとか。、腹部CTで例えばで肝臓の検査をする場合などは、超音波を使ったほうがいいのではないかとか、それぞれに並行して、より被爆ばくしない検査もあるのも事実です。
    • 東京都で、普段どのぐらいの線量の中にで私たちがいるかというと、大体1時間に0.03か0.04mSvぐらい浴びています。線量率はとても低いです。だけど1000時間たつと1000倍です。私たちが生きている間だんだん積み重なっていきますが、グラフの右上の端までここまで行くと、年齢的にもあの世からお迎えが来る時期なので、浴びるのもこのの辺で終わります。福島の場合は、グラフはちょっとだけ上側ですが、ずっと長く住み続けても、それほどでもありません。例えば医療被ばくは、例えばCTは3回受けると15mSvbなど、線量率は高いようでもくて、一時的ですね。急にたくさんn浴びるのは怖いけれど、ゆっくり浴びたら必ずしもそうではないんです。
    • 例えば、蚊に刺されることを想像してください。1日に1000回蚊に刺されるとしたら、大変ですよね。では、1日1回刺されるのが1000日間続くというのはどうでしょう。皆さんはどちらをとりますか。

医療の放射線をどうとらえるか

。皆さんはどちらを取りますか。

      • 診断機器や診断回数の増加、世界的な医療レベルの向上によって、医療被ばくは増加しています。被ばくの健康影響に関して発がんのほか、最近は心・血管障害や、白内障等の非がん影響、がん以外の病気も放射線が関係していることも問題になってきています。特に小児、発達期の子どもの医療被ばくも増加しています。その実態把握は今後の課題です。
      • 放射線の診断の正当化、用いる診断技法の適正化が必要です。低線量、分割被ばくと非非がん影響に関する科学的研究はされていますが、がんへの影響などの研究に比べるとまだ少ないです。わが国においても医療現場における診断参考レベル、例えば何回もCTCTを受ける人は、その参考値をずっと記録し続けるなどの診断設計、最適化の方策が必要ですし、医療被ばくの現状把握のための組織的な取り組みが必要になるだろうと考えます。

1000匹の蚊に刺される例でわかりやすく

    • 福島の事故以来、各大学でも放射線の影響などについてだとか医学でも教育しなければならないということで、臨床の放射線医学という教室は各大学にあります。しかし、そこでは放射線の基礎的なことは教育する時間があまりありません。小さいながら8大学ぐらいが一生懸命そういう講座を持ってがあって教えていたのが、今は16大学ぐらいになり、福島では特に増えましたが、まだ全国の医学部の中では5分の1程度です。こうした講座の設置をぜひ要望してください。
    • 最後の話題は、正解はありません。イケメンのドクターに「取りあえずCT撮りましょうか」と言われたり、。あるいは美しいというか若い女医さんに、「念のためにCT撮っておきましょうね」と言われたら、あなたは何と答えますか。ということです。皆さん、がおうちに帰って考えてみてください。
参加者

で、レントゲンを撮ると、体の中にたまっていくのですか。なくならないんですか。

近藤

放射線、誤解されやすいですが、放射線がは何かがたまるということではないんです。あるのは放射線の影響で、遺伝子の傷はある程度残ります。

参加者

放射線の影響は少しずつ消えていくと思って、自治体の検診など放射線を使う検査は3カ月間を置くようにしていますけど、ってやってるんですけど、それじゃは関係ないですか。

近藤

確かに間を置くほうがちょっと安全な気もします。

参加者

1年間1mSvで生活するのと、1mSvの環境で仕事をするのと比較すると、がんの場合を除いて平均寿命は違いますか。

近藤

対象をどこにするかで違うと思います。インドとか中国とかの高線量地域は高バックグラウンド地域と呼びますが、そうしたところで病気になりやすいかどうかや平均寿命などを考慮して疫学的調査をし、医療などの要因を補正すると、基本的には高バックグラウンドということでの他の地域との差はほとんどないと思います。

参加者

化学物質と寿命の話で、ご飯をいっぱい1杯食べると生涯何日命が短くなるとか、たばこをずっと吸い続けると5~6年短くなるとか、食べる物によって種々の化学物質が入っていて、どんどん寿命が短くなるとか、定期的に検査を受けている方は受けない方より寿命が短くなる方が多かったという話を新聞で読みました。

近藤

検査での蓄積で寿命が短縮するかどうか。まず、ないと思いますが、非常に難しい議論です。

    • 日本の場合は、世界に比べると数倍近く医療による被ばく線量は高いです。外国の統計をやっている先生は、日本では医療被ばくが多いので、日本での発がん率に何パーセントか寄与しているという計算を出している先生もいて、一時期大問題になりました。ただ、平均的に考えれば日本全体の平均寿命はかなり高く、あくまで線量は数字の問題なので、直接個人で医療での被ばくをしたことが寿命に関わることは、たぶん考えなくていいと思います。ただ、国全体としては、トータルでの影響は考えなきゃいけないです。
    • 一方で、検査をするとある程度早期に見つかるがんもあります。結果早期に治療ができてがんが治るということもあります。これも一面では正しいですね。
    • 健診で行う胸部X線写真も、昔は結核の検査でした。それによってどれくらい結核の人助けられたという効果を検証したデータによると、それはあんまり多くないってということなんです。しかし、現在は結核ではなく肺がんや心臓の病気の発見に置き換わっています。健診の効用・効果はについては一般論では国も推奨して行っているのですが、必ずしも本当に全ての健診が効果があるかどうかということに疑問を投げかける研究者もいます。
    • 放射線の被ばくのがん以外の影響について、10年ぐらい前からの調査では、やっぱり被ばく者への影響を心臓と、循環器障害、すなわち心筋梗塞で亡くなる人の割合を調べると、結構低い線量でもそういうしたリスクが高まるという統計的なデータが出てきています。
    • 医療従事者については、線量バッジやポケット線量計を付けていて、どんな作業をしてどれぐらい被ばくしたかが分かりますので、絶対線量限度を超えないようにしています。医療従事者がしっかり自分で管理する、あるいは管理されていれば安全と言えると思います。
    • たくさんの線量を浴びるのは良くないことはもう分かっていますが、一定量以下のものを浴びたときに個別にどうなのかの科学的な議論はなかなか難しいんです。しかし、そのことは今日本でも決して無視されているわけではないし、医療に使われる放射線や福島の自然界に散らばってしまった放射線の被ばくも、議論としては同じ放射線のことです。きちんとよく考えて、われわれも知恵を持つべきだろうと思います。
このページはJRA畜産事業の助成を受けて作成されました。
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