HOME > Information » お知らせ > 第25回サイエンスカフェ「農作物の放射性物質汚染について考える 〜福島原発事故を踏まえて〜」開催報告

お知らせ

第25回サイエンスカフェ「農作物の放射性物質汚染について考える 〜福島原発事故を踏まえて〜」開催報告

掲載日:2017.06.05

中西さん写真1

情報提供者の中西さん

2017年2月6日第25回サイエンスカフェ「農産物の放射性物質汚染について考える―福島原発事故を踏まえて―」を開催しました。
東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター特任教授の中西友子さんに、自然界の放射線や放射性元素の成り立ちなど基本の知識から福島の田畑や森林への放射性物質の影響など、放射性元素施設ならではの技術を使った画像などもあわせながら、より理解しやすく紹介していただきました。
身近にも普段からある放射線、原発事故によって農畜産物に影響を与えた放射性物質等について、いろいろな角度から情報を提供いただき、参加者の方々からの質疑応答を通じて有意義なディスカッションが行われました。

○第25回サイエンスカフェ配付資料(pdf)
※以下、記載がないがない場合の発言は中西氏のもの
※質疑応答は一部抜粋

宇宙の始まりと元素のなりたち

        • 私たちの周りには、身近な放射性物質があります。そもそも放射性元素とは、何でしょう。元素にも放射性のものが存在していて、天然のものと人工的に作ったものとがあります。その両方が例えば両方とも同じエネルギーのγ線を出していれば影響は一緒です。放射線を出して放射性元素は崩壊します。不安定なのが安定になろうとしている元素を放射性元素といいます。崩壊するのですが、放射線は一定の割合で減っていきます。一定時間たつと、あるものは半分、あるものは4分の1しか減らない。ものによって固有の時間を持っています。だから時計がたくさんあると考えてみてください。
        • 私たちの身近な放射線、放射性物質とは何でしょう。放射性元素っていうのは2種類あって、1つは地面の中に埋まっています。それは46億年前に地球ができたときに、周りにある塵とかいろんなものを固めて地球っていう星ができたのですが、このときに取り込んで、地殻に存在していてるものです。この際核種になって、それでも不安定でどんどん崩壊して、系列を作るものと作らないものがあります。
        • そして宇宙線によって空からも降ってくるんですね。宇宙線は宇宙空間にいっぱい飛んでます。ものすごくエネルギーの高い陽子線が、常に私たちの地球の外を走っているわけです。その宇宙線が、空のすごく高いところで大気が薄くなってるところでも少しあるんですね。核破砕反応といって窒素とか酸素とかがそれに当たります。酸素とか窒素が壊されていろんな核種ができて、それがいつも降りてきています。
        • ビッグバン、宇宙の始まりはインフレーション理論とかで、10のマイナス何乗秒でできたらしいんですが、46億年前に地球ができたとき、周りにあるものを全部取り込んで、それから今に至るまで、ずっと保持し続けてるんです。例えばカリウム40があります。コーヒーにも少しはカリウムが入っているし、私たちの体にもありますが、カリウムの1万分の1は放射性なんです。半減期が13億年なので、地球ができたときから考えたら4半減期で今は16分の1ぐらいだから相当減ってはいますが、1万分の1のカリウムは放射性です。普段の食べ物や接するもの全部、私たちの体にも入っていっているものがあります。
        • この宇宙の生成っていうのは非常に実は面白くて、どうやって元素ができてきたか、この前、113番元素ができましたが、いろんな安定なものがあるんですね。いろんな元素の合成の歴史があるんですけども、面白いことにビスマス、鉄までしか、この元素合成でできないんです。鉄で平衡状態になってしまいます。でも星っていうのは、ずっと進化があって最後は爆発するんですね。超新星の爆発ですが、爆発する際には鉄より重い元素ができるんです。それを宇宙空間にたくさんばらまくわけですけど。
        • まあ、元素の歴史を言っても仕方ないんですけども、こんなふうに、宇宙ではいつも元素合成の歴史が140億年前からつながっています。あるとき固まったのが地球だから、当然宇宙空間にあるものも取り込んでいるということになります。
        • 天然にあるウランはほとんどウラン238なんです。0.7%だけウラン235って、燃料棒にするウランなんですけども。地球ができるときにウランももちろん取り込んで、地球が固まるときにいろんな鉱床ができて、あるところではウランが多かったりしています。そのときは45億年前ですから、今の倍の量ウラン238があった。これはとても面白いことで、身近に、いろんな核種があるんですけど、1つ1つが時計なんですね。だから年代測定っていうと、炭素14だけじゃなくて、ありとあらゆるものが使えるんです。
参加者

半減期が長いものについては確かにまだ半分になってるのは分かりますけど、短いものってなくなっちゃうと思うんですけれども。

中西

そうです。星の中で作れないんです。ヨウ素131も人工的に作らないといけない。

参加者

普通はないとないということですか。

中西

ええ。ないわけです。ラジウムですとか半減期の長いものはあります。

        • 単独に、原始放射性核種って、地球ができたときからあるっていうので、「原始」という言葉を使うんですけども、他にもあるんです。主なものでカリウム40とルビジウム87とかが岩石ならびに土壌中にあります。私の時代はベクレルじゃなくてキュリーですいません。これは13億年と、ルビジウムも480億年です。こんなものがなくならずに地球の中にあるわけです。
        • トリチウム、3H(3は上付き)って書くんですけど、半減期は12年。それが、宇宙の高いところで核破砕反応でいつも出てくるんです。雨水と一緒に降りてきます。H2O(2は下付) の普通の水素と置き換わって。ですからトリチウムっていうのは、私たちが飲むコップ1杯に、大体計算しますと10の7乗個、1,000万個ぐらいのトリチウムは入ってます。どんな水にも。水によって多かったり少なかったりするんですけど。だから、それだけ私たちは飲んで、体の中にも入っています。
        • それからベリリウム7も面白くて、ベリリウム10っていうのは、10の6乗年ぐらいなんですけど、それはプレートはどんなふうに動いてったか。地震のときですけども、そんなことを調べるのに使ってます。
        • 14C(14は上付き)は年代測定でよく出てきます。なぜ年代測定ができるかっていうと、宇宙線がいつも炭素14を作って、二酸化炭素、CO2(2は下付)の中には1兆分の1だけ、私たちが吸っている二酸化炭素、全部放射性のC14なんですね。で、常に上から補給されてますから、平衡状態っていうか、一定量の割合で炭素14っていうのが二酸化炭素の中に入ってる。炭素14のCO2(同上)がいつも入っているので、私たちが吸うのもそうですし、植物が呼吸してもそうですし、動物が呼吸してもそうですし、動物の体の中に入っているのもそうです。いつも呼吸して常に供給されているので、割合としてはほぼ一定なんです。
        • ところがあるとき樹木を切り倒して、大昔の人がコップを作るとしますよね。そのコップが土に埋まってしばらくたつと、普通のところのものは炭素14と12の比が大体1兆対1なのに、炭素12 だけ減っていくわけですね。5,730年たてば、1兆対0.5になるわけです。1だったのが。その比を詳しく測ると、木を切り倒してコップを作ったのはいつ頃と分かるわけなんです。だから8割だったら1,000年たったとか。それで年代測定っていうのができるんです。
        • 東大にタンデム加速器っていうのがありまして、そこでは、年代測定をいつもやってます。今は、何十ミリグラムの量、ほんのちょっと、100mgもあれば御の字ですけど、それだけの木片があれば、それを使って分析できる。まあ、でも、使ってしまうので、貴重なものは削れないっていうことはありますけども。年代測定っていうのは、私たちの周りに放射性物質が、元素があるからこそできる技法であります。

私たちの身のまわりにある放射性物質

        • 空の高いところで宇宙線がたくさん飛び交ってますから、薄くなった空気と当たって、いろんなものを作って私たちのところに降り注いでいる。私たちの地殻、地面の中にもいっぱいいろんな放射線核種が入ってます.実はウランなんかは花崗岩に結構多くて、私、まだ測ってないし、別にそうだから危ないってわけじゃないんですけど、花崗岩で作った建物っていうのは少し放射線が高いんじゃないかなと思ってます。
        • 大学の中もいろいろ調べました。花崗岩でできた階段のところは、測ったらちょっと高めですけど、まあちょっと高めかなというぐらいです。それよりカリウムのほうが高いです。それとあと、空からもいつも降ってくると。下と上と両方からいつも放射線が降り注いでいる中で私たちは暮らしてるということになります。
        • それで、公共の放射線被ばく量は年間どれくらいか。日本の今基準値は年間1mSvですね。バックグラウンド値は別ですが。バックグラウンドとなる天然の放射線の被ばく量、大体日本は、合計1.5mSvなんです。いつもこれだけ浴びて、子どもから大人までみんな育ってきているわけです。これよりプラス1までいい、許容しましょうと。1mSvが今の基準ですが、これはでも、同じ放射性物質です。セシウムもそうですが、宇宙線から約0.3mSv。大地も0.4mSvあります。ラドンっていうのはこれは面白いです。ラドンはガスなんですね。ガスを結構吸うんです。世界の平均は2.5mSv。今、スウェーデンの人が日本に来てるんですけども、スウェーデンは、日本の3倍から4倍高いんですよ。だからスウェーデンで3~4カ月暮らすと、日本で1年間暮らす分の天然の放射線の被ばく量があるところなんです。自然の放射線は場所によって違うということですね。インドでは7倍あるところもあるし、地球っていうのはいろんなものを、放射線核種を地殻のあちこちで貯めてますから。そこにいろいろな人住んでる。中国でも3倍のところがあるそうです。
        • 100mSvまでは、がんになるかどうかっていうのが、確率が上がるかどうかっていうのは分かんない。データがないんですね。だから、低レベル被ばくっていいますけど、これについては、世界の機関では100mSv浴びると0.5%ぐらいがんの確率が上がるんですけれども、各国が自分たちの国民はどれくらいまで許容するというものを決めなさいと。ですから20mSv や30mSvの国かあって、日本は福島の事故後に1mSvしたんですね。非常に厳しい。厳しいということは、食べ物も非常に厳しくしてるということになります。
参加者

ラドン温泉が体によいというんですが、どんなメカニズムですか。

中西

ラドン温泉は、実はリッター当たり1,000Bqないとラドン温泉って言わないんですね。昔からリウマチに効くとかいうのがあるんです。ラドンというのは周期表の一番右ですね。一番右っていうのは、科学的に何も反応性がないんです。ガスとして吸って体の中では脂肪組織に貯まります。そしてその近くにある神経を刺激するんです。ラドンから出るα線っていう放射線ですけど、あんまり飛ばないんですね。近くのものを、チラチラッと刺激して、それでリウマチが治ると言われている。ラドンっていうのは半減期が3.8日なんですね。ですから、まあ、たくさん吸っても、すぐなくなりますし、天然のレベルはそれでもすごく低いんですが。

地球の成り立ちを説明する中西さん

地球の成り立ちから理解を深めます

        • 日本中、宇宙・大地からの放射線、どこの場所がどれくらい、何mSvかっていうのを、これも、福島の原発事故のずっと前、2000年に測ったデータでは、関西のほうでは人形峠がちょっと高めなんですね。東北とか北海道は0.9とか0.8で、関西は1.7、1.16とかあって、関西のほうが放射線が10~20%高いんです。ところが、白血病、がんの発生率っては東北地方が一番高い。だからがんとの確率っていうのは、この頃いろいろ調べたけれども、天然のものとはあんまり一致しないだろうということの推測です。疫学調査はいろいろされています。
        • また、面白いデータですが、原子力研究所の人が大阪から東京までずっと放射線量を測りながら電車に乗って移動しました。そうすると、トンネルに入ると縦軸がマイクロシーベルト/時ですから、今、福島で0.0いくつとか言ってますが、トンネルでは0.05や0.04出ています。トンネルで高いのは、すぐ周りに地面、土がありますよね。土の中に結構いろんなものが入っているので、そこから出てくる放射線量で高くなるんですが、川のところに行くと非常に低いですね。水が遮光して低くなったりしています。
        • 言いたいことは、これだけ値には幅があって、動きますよということ。0.5が0.4になったといっても、天然の動きから見てそんなものかなということです。ただ、0にはならない、ということを知っておいていただければと思います。
        • 天然原子炉というのがあります。実は日本人のKurodaという化学者が1956年に、存在を予言していましたが、これが当たったんです。ウランというのは、燃料にするのはウラン235で0.7%しかないんです。それを濃縮して4~5%になれば濃縮ウランっていうことで、原子力発電所で燃料として使っているんですけども、125は半減期が7億年なんです。ということは20億年も遡ると、20億年は3×7=21だから、3半減期で2×2×2=8。8倍。もう0.7%の8倍だと4~5%はあったわけですね。20億年前は環境中に濃縮ウランでした。あと7億年たつと、今0.7%ある235のウランも半分になってしまうわけですね。
        • 他方238は、40何億年と長いですが。235は20億年前は濃縮ウランだらけだった。ですから、今、ウラン鉱山のあるところで、ちょっと自然条件が合うと原子炉ができたっていうのを予言したんですね。1956年というと、1942年に初めてアメリカのフェルミグループが人工の放射線で原子炉を作ったんですが、世界中が驚いて、素晴らしい、人類の英知で研究用の原子炉ができたと。ですから「天然にある」とは何事だと言って誰も見向きもしなかったんですね。とても短い論文でしたが。そうしたら、実際に後でフランス領のオクロっていうところで見つかるわけですね。
        • 見つかったのは、ウランを採掘している場所で採掘したウランの品質を保証するために、ウラン235と238の比をいつも測っていたのです。私たちのところで取れたウランには0.7%、ちゃんと235ありますと示して出荷してた。ところがある場所で235がものすごく減ってたんですね。これはおかしいというので測ってみると面白いことに、238とか235とか、みんな核分裂していろんなものができるんですけど、どの元素がどれぐらいできるかっていうパターン、割合が全部決まってるんです。周りの土を分析すると、そのパターンどおりに元素の存在量が分かった。だからこれは235が何十億年かけて100万キロワット級の原子炉を持っていたということです。ほかにも天然の原子炉が数台見つかったんですね。7~8基あったということですけど。天然というのは、人間の頭で想像できないすごいことが起きてるんだなあということがあります。
        • 先ほどの、ラドンっていうのはどこから出てくるか。238の半減期が45億年、そして次々に他の種類の元素が出てくるんです。ビスマス、プロニウム、アスタチン、ラドン。それらがどういうものになるか。トリウム234は、ここからプロトアクチニウムになって、ウラン234になってとどんどん崩壊していくわけですね。ラジウム226になって、ラドンの222。これが3.8日の半減期なんです。これはガスですね。鉛あたりにいくと、また固いんですが。鉛210は138日、210の鉛は22年とかですね。
        • ずっと崩壊していって、最後にステイブルな鉛になってくるんですけども、鉛210なんてあまり聞いたことないと思うんですけど、それを測ってみて、鉛210と、他の比を測るんです。鉛210がこれだけ少ないじゃないかと。これは22年の半減期ですから、例えば江戸時代に持ってきた土なのか、ひっくり返したら出てきたのかわかるわけです。周りに身近にある放射線核種が時計の役割をしていて、地球や私たちの身近な歴史を知ることができるわけです。
        • トリチウムっていうのは、薄い雨水と一緒に空から降ってきて、半減期は12年。ガスなんですけど、水にほんの少し溶けますので、地下水を測るとラドンが溶けています。それで、昔、この水がそこら辺に沸いてきたので、ラドンとトリチウムの比を測ったら、ラドンがいやに多かった。だからこの水は、雨水が貯まったんじゃなくて、地下にどこか割れ目があって、そこから来た水だろうと。ならば地震があるに違いないと言って地震予知につながったんですね。
        • タシケントっていうところで実際に予知ができたんです。ただ、今の火山噴火予知連絡会の藤井先生にこの前お会いして、日本ではラドンとトリチウムも測ってますかとおたずねしたら、測ってるところもあるけど、それほど測っていないとおっしゃっていましたので、もっと日本中で測ればいいと思いますが。まあ、当たらないこともあるんでしょうけど、半分ぐらいでも予知できれば、すごいなあと思うんですが。

放射性元素の崩壊を捕まえる

        • ・食品中のカリウム40。今回の福島のことで、測ってみると、結構ホウレンソウなどの野菜は大体200Bq/kgぐらいあるんですよ。規制値が100Bq/kgですから非常に大変なんです。200のところで100だけ出るものを測りなさいっていうので。長い間測っても、バックグラウンドの値も揺れますし、測るものも揺れる。ノイズがずっと収まるまで長い間測んないと分かんないですね。なので非常に苦労して測っています。
        • この200Bq/kgというのは、すごいことなんですね。200個の元素の崩壊を、原子核の崩壊を捕まえてる。大体、私たちが知ってる化学反応は、1モル、22.3ℓで、アボガドロ数は10の23乗個。ちょっとあり過ぎる。水ですと18g。でも十何乗個ないと、私たちの化学反応っていうのはできないんですね。できないぐらいの量なんです。
        • 前にダイオキシンが問題になったとき、ナノグラムが測れるかどうか問題になったんですけど、1ナノグラムを計算すると10の14乗か15乗かあるぐらいのダイオキシンがあるのが1ナノグラム。ナノグラムは10のマイナス9乗グラム。それを測れるかどうかぐらいしか今の分析方法の感度っていうのはないんですけども、この200個の原子核が分かる。すごくもう少量なわけですよ。
        • ですから、何百とか、何万、何十万でもいいんですが、何十万ベクレルのものが降ってきて、その挙動といったら普通の化学物質と違うんですね。こういうのを扱っているのを放射化学といいますけど、放射線、放射性同位元素とか放射線を扱う化学なんですけど、200とか、もう数百ベクレルとかですと普通の挙動じゃなくて、もう溶けたなと思っても、コップの周りにピタッとくっついていたりと、まあ挙動が全然違うんです。
        • 葉っぱで例えば数百ベクレルあったとしますよね。数百ベクレル、セシウムだから、放射線出すから測れるわけであって、もしかすると鉄とか。他の元素もそれくらいのレベルだったら全部あるかもしれないです。でも放射線出さないから分かんないというぐらいのレベルで。ある人は、クーロンケミストリーだとかいって、訳の分からないことを言うんですけど、とても化学的挙動というのは分かんない。それで、ほんのちょっと分かってる安定なセシウムをちょっと入れてやると、同じ挙動を示すんですね。
        • さて私たちが普段食べているカリウム40は、普通のカリウムの1万分の1ですが、干すと濃度は上がりますよね。干し昆布が別に高いというわけではなくて、水に戻せばもうちょっと低くなるということになります。主な自然放射性の標準的な濃度は、ウランから始め結構いろいろ入ってるんです。ミリベクレルのオーダーですけどね。
        • 1キログラム当たり、魚では鉛210ですと22年の半減期ですけど、2Bq/kgぐらいあるんですかね。でも測定するのは非常に大変なことなんです。放射線医学総合研究所の方が一生懸命監修してそれなりの人が測ったということだと思います。
        • それから放射性物質っていうのは、放射線を含んだ食べ物っていうのは放射線が出てますから、上にフィルムを置いておくとフィルムが感光されるんですね。X線を浴びますと後ろに骨の像とか、いろんな像が出ますよね。同様にフィルムですとちょっと感度が低いのでフィルムの感度を上げたようなイメージングプレートっていうのを最近使っています。これを食品の上に置いておいたんです。
        • これは名古屋大の森千鶴夫先生がお肉の上にしばらく置いておいたんです。これは、イメージングプレートだと思います。脂肪組織のところがちょうど写ってます。カリウムは筋肉に含まれるので、筋肉組織にたくさんあるカリウムが一番多く出てくる。カリウムの他にもいろんなものもあるけれども、主に筋肉のところが像となって出るということがお分かりかと思います。
        • 眼鏡の上にイメージングプレート置いておくと、プラスチック製の部分はカリウムがあまりないので青いけれど、ガラスの部分はカリガラスともいうように、高級なガラスはカリウムがあるから、しばらく置いておくとこれだけ放射線が出ていますね。目はいつもこれだけ浴びてるというか、これが通常の眼鏡の状態です。
        • バナナ、ポテト、ショウガ。普通の食べ物で、汚染されているものではありません。植物にも入っている。何にでも入っているということが分かります。ヒトの体の中も、もしヒトを全部粉々にして元素別にすると、500円ぐらいだとかいうのを聞いたことがあるんですけど、酸素、炭素、水素、窒素とかですね、元素ごとにずっと分けてみると、体重に対して、酸素が一番多いとか、分かるんです。
        • カリウムもヒトには結構入ってるんですね。体重の0.2%ぐらいはカリウムであると。そうすると、その1万分の1は、また放射線を出すわけです。水素も少しトリチウムが入っている。カーボンも1兆分の1は、カーボン14であるとか、いろいろ考えていくと、カリウムは大体1人当たり、体重60kgの人は4,000Bq/kgベクレルぐらい。混んだ電車でも4万Bq/Kg分の放射線源の人と接しているということになってしまう。炭素14も結構できています。足すと結構な値になりますよね。
        • 結局私たちは、生まれたときからものを食べているので、内部被ばくを受けています。体重60kgの人には常に7,000Bq/kgぐらいの放射能はあるわけです。最も多いのがカリウム40で、セシウムと同様にγ線とβ線を出します。食べ物から摂取する放射能により0.4mSvぐらいの被ばくを受けていると。放射能を含まない食品は地球上にないというわけですね。ここをちょっと知っておいていただくと、福島のことも見方が少し変わるんじゃないかと思います。

福島の農畜水産業への影響

        • チェルノブイリと比較した図です。資源エネルギー庁のサイトから見られます。同じ30Kmの範囲を同じ大きさの円で示してみますと、福島の原発事故の汚染面積はチェルノブイリ事故の6%。計算はいろいろありますが、資源エネルギー庁の値を持ってきました。同様に放射性セシウムの量は大体6分の1ぐらい。チェルノブイリのほうは燃料庫が飛んで、福島は水素爆発ですから、それなりに違いますが、放出距離は全体として10分の1ぐらいだった。
        • ウクライナにもちょっと行ってみたんですが、石棺が全部覆っていてすごいです。でも、すぐ近くまでもう行けるんですね。観光バスも随分出ています。いろいろ感じるところはたくさんありました。
        • 私どもは弥生のキャンパス以外にいろんな演習林を持ってます。そこの人たちが一緒になってボランティアベースで、放射能の農水産畜産物への影響を調べようということで、福島の原発事故の直後から随分やってきました。土壌って素晴らしくて、セシウムを吸着して離さないでも少しは動くんですよ。でも、もし普通の量の、化学反応するぐらいの多量のセシウムだったら、もうずっといろんなことで簡単に処理できるんですけど、いったんくっついたら離れない。ほとんど離れない。
        • プロジェクトがたくさんあります。場所も、演習林以外に生態調和、圃場とか牧場とか、いろんなところを持ってます。福島県の農業総合センター、実は非常に深い関係で、最初の頃からずっとお付き合いをしてますし、NPO人とも今も交流してます。放射線測定器があるので測って差し上げたり、いろいろしています。
        • 例えば、棚田でイネが育ったとすると、その問題解決は土壌の専門家だけじゃいけないんですね。イネの育種の人とか、塩沢先生、根本先生、水利や森林の専門家など多くの人たちが全部一緒にならないと解けない問題なんですね。それで、農学部始まって以来ということですが、随分いろんな先生方が参加されました。
        • これは2011年の「Nature News」に載ったんですが、塩沢先生が測られたものです。3月11日は、畑にかすかに入っていたのは麦です。麦踏みは早春に、畝の間を踏んで根をしっかり固める、すると強い植物ができます。早春の風景ですが、そんな中、土の深さ15㎝では放射能の強さがセシウム134と137で出ています。1対1ですね。18対15の第1発電所と異なります。爆発したときに、出たものの比が違うそうなんですね。いろんな農地で調べると、どっちの寄与が高いかって分かるらしいんです。
        • 先週末福島に行って農水省のいろんな営農再開のプロジェクトに関わったんです。その時にが測ったのは大体1対1。上の数センチしかセシウムがない。あとはほとんどないんです。土を4~5センチでしょうか、広げてですね、先ほどの放射線を感知するイメージプレートをペタッと置いておくと、ポツポツと黒くなります。均一ではないですが、大きく見えるものがあり、それは粒の大きさでなく、放射線が強いとポツポツが大きく見えます。大体どこの土を取ってきてもそうです。
        • 最初の3か月、これは縦軸が深さで、横軸が放射能の強さですけども、プロファイルは、表面にしかない、ちょっと下がるとほとんどないと。雨が降っても最初の3か月で2センチ、下に下がった。それでどんどん下がるんだと思ったんですよ。雨の量が3倍ぐらいに増えても5ミリしか下がんない。5年間のデータが全部あるけれど、今は1~2ミリしか下がりません。最初に落ちたものはほとんどそのままなんです。いろんなもので洗ったりもしたんですけど、落ちるのは最初だけ、せいぜい2割ぐらいです。あと8割方は全部動かない。ということは、放射性核種っていうのは動かない。だからまた、それを集めてどこか持っていくのかとか議論が出るもとになるんですけど、動かないっていうのが一番のポイントです。
        • また、ちょっと掘って50㎝ほど普通の土を入れると、放射線セシウムがあるのは気に食わないけれども放射線も出てこない。動きもしないといえば、これはまあ一つの対策になると思うんです。ただ、除染法っていうのは決まってしまったので、一度動きだすと変えるのはなかなか大変だということです。
        • 小麦で2か月後に採取して、葉っぱを切って並べたら、一番枯れかけているのは2か月前に青々としていたんですね。2か月後に、また放射線がどこにあるかって見ると、この最初に、事故当時に空気中に開いてた青々とした葉っぱは、まだ放射線量が高い。ですから、黒い点もほとんど動かない。全部ではないけれど最初にくっついたまま。もし放射性物質が中に入っていたら葉脈に沿って動動くことになるけれど、それらしい平行線も見えない。2か月たっても、ここにしっかりくっついている。それを考えて、いろんな除染法ができるかもしれません。
参加者

地下水のモニタリングなんかで増えるとか減るとか、今動かないっていうご説明でしたが、その辺はどうなんでしょうか。

中西

地下水ではないんです。ため池がたくさん測られてまして、ため池の底の土の表面の放射線量がどれぐらい減るかというのを全部見ていきましたら、結構減ってってるんです。ところが1か所だけ増えているのがあった。どうしてだろうと思ったら、ため池の上のほうに市街地の小さな村があって除染作業をしているんですね。道路とかあちこちを洗った水と一緒に随分出てくる。でも地下水は、地面に土があるろ過されてほとんど出ないです。事故サイトは分からないんですが、農業をしている場所、この周辺、何十キロより外側の話ですけども、そこはもう土でろ過されるので大丈夫です。

        • 私たちの除染をやっているNPOに入ってる先生は、畑に水をシャーッと持ってくるんですね。水を持ってきて土を回すと、細かいものっていうのは上に行って、なかなか沈まないわけですね。しばらくたったら横に溝を掘って、上澄みをしゅっと水ごと持ってくると8割方はきれいになります。放射能はなくなる。溝に行ったものは、もちろんしばらくたつと水がはけてその溝の壁とかそこは全部放射性物質くっつくんですけど動かない。その上にきれいな土を持ってきて歩くこともできるし。
        • その畑には簡単な放射能測定器を差し込んで、ソーラーバッテリーでメンテナンスフリーで測れるようにして、住んでる人がいつもそこにあって、他に出てないなっていうのを確認できるようにしているんですね。そこにあるのは、あまり気持ちもよくないけども、そばに行ってもちゃんと土を被せてあるから放射線は浴びないし、ものは動かない。最初は分からなかったから仕方ないと思うんですけども、オンサイトで、その場でひっくり返すなりっていうのが一番いいということなんです。
参加者

反転耕が有効ということですよね。

中西

そうです。ただ地表5センチきれいにはつるなんていることはできないんですね。ですから、はつった後も結構放射線量がありまして、客土で山砂を入れてるんです。ですから栄養もなくて、そこをどうやって農業をもう1回できるようにするかっていうのが大問題で。ものすごく苦労しています。すぐ他の雑草がいっぱい生えてくるんですね。ヨシとか何とか、いっぱい生えてきますし、それをどうやって食い止めるかとか。最初いろんな除草剤で、ラウンドアップとかいろんなものまくんですけども、その後をまたどうすれば植えられるか。イネを植えても、やっぱりラウンドアップの影響がちょっと残ってたり。やっぱり草むしりが必要だったり。

参加者の様子

豊富な話題に次々と質問が

        • 一番いけないのが、はつるための重機で土がぺしゃんこになってしまうことです。、一番いい土っていうのは、大体1対1対1で、3分の1が水で、3分の1は空気層で、3分の1がマトリックスなんですけど、全部つぶれちゃって、押さえつけられちゃって水が抜けないんですね。そこをもう1回空気を通したり、まあ、いろんなことをやってます。
        • ただ、それを年取った農家の人にやってとは言えな、今年の4月からまた解除のところが出てくるので大変だというような話を、試験場の人たちからも聞きました。
参加者

土をそういうふうに寄せたところで客土で持ってきたところ、例えばそれが福島じゃない土を持ってきたときに、そこでできたものは、かつての福島産と同じ扱いできるんですか。

中西

そこで取れたら福島産となることは間違いないんですが。ただ、他の土といっても山砂なんですね。山砂なのでほとんど栄養がない土なんです。肥料をたくさんあげなくちゃいけないし、また、かき混ぜなきゃいけないし。

        • 福島県は、ものすごい農業地ですから。その後も、最初に除染したところに行ったんですよ。遠くから見たら、黄金色に稲が実っていて「ああ、たわわだなあ」と思って、近くで見たら、全く違いました。1つの房からいろんな色のお米ができている。日本の基準は「品質が一定であること」なんで、ものすごく厳しいですよね。一等米になると。ヤマユリとか何かが生えてきたところを、今からやって、除染が終わっても、そこから後、営農が再開されるまでは5年、10年じゃ無理かもしれないと言っていました。

福島のお米はいま

        • 福島県は全袋検査をしています。1袋30kgで、年間1,000万袋以上を、全袋を検査してます。2011年71袋、2012年28袋、その次の年が2袋出たんですね。家庭用に栽培して、売るつもりなかったけど測ったら出ちゃったということで統計に載ったんですけども、その後は全部ゼロなんですね。苦労して測ったものを出荷するために、他のところでは誰も作れないようなシールをペタッと貼ってたんですね。するとそのシールが剥がれてくるという苦情があって、調べたら係の人の汗で濡れて貼れてなかったとわかった。苦労しましたけど。今はゼロです。今年の福島のお米は大変おいしいです。
        • さて、ラボらしいこともしたいなということで、3日目、5日目、7日、だんだん成熟していく玄米のお米の粒で、それを全部輪切りで撮りまして、三次元化させると米は外側と胚芽部分にセシウムが貯まっているんです。玄米を精米すると半分になる。精米を洗うとまた半分になって、実際に炊くときにはお水足して、出しますよね。だからこの濃度からいくと、お水は加えるわけですし、ものもふくれるわけですから、最初500近くあっても、食べるときは10分の1ぐらいに、50ベクレルぐらいになることがわかります。でも今は基準が500でなく100ですから、全然測れません。食べるご飯っていうのは。それぐらいに減っています。
sp
PageTop